紙粘土人形、人生に彩り 久万高原・林さん初の個展
愛媛県久万高原町七鳥の団体職員、林智美さん(57)が、趣味で制作した紙粘土人形数百体を集めた初の個展を、同町久万のギャラリーカフェKIKUJIROで開いている。「自分がかわいいと思ったものをたくさん作った。ぜひ見て」と呼び掛けている。10月3日まで。
林さんが人形を作り始めたのは約30年前。長女が低出生体重児で産まれたため、初節句を病院の保育器の中で過ごし、祝えなかったことがきっかけだ。「同じような経験をしている人はほかにもいるはず」と思った林さんは、ひな人形のセットを自作して病院にプレゼントすることを決意。最も手軽に始められる紙粘土を使って制作に取りかかった。
子育てと仕事の傍ら、試行錯誤を続け、接続部分に針金ではなく、さびの出ないつまようじを使うなど、独自の工夫を凝らした。「人に手渡せるまで10年ぐらいかかりました」と林さん。長女が10歳になった年、ようやくフルセットのひな人形を病院に贈ることができた。
その後も趣味として人形作りを続け、病院へのプレゼントも10年ごとに継続中。最近凝っているという、子どもの結婚式で使った「ウエルカムドール」なども展示している。林さんは「人形作りを通じて、いろんな人に支えてもらった。今、孫が3歳と4歳。2人の結婚式でウエルカムドールを作るのが夢」と創作意欲を燃やしている。